顔面神経麻痺とは、12対ある脳神経の7番目の顔面神経が何らかの原因によって障害されることによる表情筋麻痺が生じたものを言います。
顔面神経は味覚、表情筋、眼輪筋、口輪筋、アブミ骨筋、顎下腺、舌下腺、涙腺などを支配しています。
神経の障害部位によって、脳に原因がある中枢性と脳の外に原因がある末梢性の大きく二つに分かれます。
全体の90%は末梢性といわれています。
中枢性顔面神経麻痺の主な原因は脳出血、脳梗塞、脳血管障害、脳腫瘍などの脳の病変が原因で起こります。
末梢性顔面神経麻痺の原因として一番多いのは、約70パーセントを占めるベル麻痺といわれる病気です。
急に起こる顔面神経単独の麻痺であり、「特発性顔面神経麻痺」と言われています。
膝神経節という顔面神経を構成する細胞体が集まっている部分に潜伏していた単純ヘルペスウイルスが、患者が疲労や免疫が弱くなった時に再活性化することで神経炎が生じます。
次に多いのがラムゼーハント症候群です。
原因となるウイルスは水痘・帯状疱疹ウイルスでありベル麻痺と同様、膝神経節に潜伏していて再活性化すると神経炎が生じます。
そのほかに中耳炎や頭部外傷、糖尿病による顔面神経麻痺がありますが、全体の10%未満といわれており頻度は多くありません。
ベル麻痺は顔面神経が障害されるため支配領域である味覚や表情筋、アブミ骨筋、涙腺などが機能しなくなり、表情筋麻痺、流涙または涙液減少、聴覚過敏、味覚障害がおこります。
片方の額のしわ寄せができないのが特徴といわれています。
発症前には耳後痛を訴えることがあります。
予後は良好で約70~80%が自然治癒が見込まれます。
ラムゼーハント症候群はベル麻痺と同様の症状に加えて耳介や外耳道、顔面部、項部などに出現する帯状疱疹とめまい、難聴等の内耳神経由来の症状が出ます。
顔面神経麻痺、帯状疱疹、内耳神経症状の3徴候を完全型、顔面神経麻痺と帯状疱疹または内耳神経症状のみのことを不全型といいます。
ベル麻痺より重症化しやすく予後は比較的不良です。
末梢性顔面神経麻痺と診断された場合はステロイドを中心とした投薬治療を行うことが望ましいといわれています。
麻痺が強く自然治癒が望めない場合は圧迫されている顔面神経を開放する手術が適応になる可能性があります。
表情筋や味覚障害、聴覚過敏などの顔面神経麻痺の症状が現れたら多くは自然治癒で治ることがほとんどですが自然治癒で治らず重症化する可能性もあるので病院を受診することをおすすめします。
顔面神経麻痺は鍼灸の適応症になります。
鍼灸治療、頭蓋調整などを組み合わせ治療していきます。
気になる方は当院までお問い合わせください。