年々変わる気候変動において、体調を崩されている人は多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、東洋医学的考えで体の症状を代表的なタイプ別に分け、その方に合った食養生をご紹介したいと思います。
「食養生」とは健康保持や体質改善のためその個人の体質・体調に応じた食事を摂ったり節制したりすることです。
注意したいポイントは、食べ物や漢方は自然からできたものですが、ご自身の特性や症状を見誤り、違った取り入れ方をすると逆効果であったり、漢方でも副作用が出現したりするので、しっかり体質を把握することが大切になります。
「気虚」・・・疲れやすい、少しの運動で息が切れたり胸苦しさがある、胃下垂や慢性胃腸炎などの症状を引き起こしやすい。
「血虚」・・・疲れやすさや息切れの他、とり目、めまい、月経量が少ない。
この「気」と「血」の両方が不足し体弱で、少食でも胃が重たい、心情でもクヨクヨしがちな方を指します。
⚪︎果物では胃腸の機能を高め下痢止めの効果のあるさくらんぼ、整腸機能と血の巡りを促進する桃
⚪︎野菜では貧血の改善効果のある蓮根、胃腸の働きを促進するサツマイモや山芋、胃十二指腸潰瘍に有効なキャベツ、余分な水分を排除し腸機能を高めるインゲン豆、免疫力を高める白キクラゲ
⚪︎穀物類ではクコの実、なつめ、栗、もちこ米
⚪︎魚介類では真鯛、ひらめ、かれい、ドジョウ、フナ
⚪︎肉類では鶏肉、卵、うずらの卵、羊肉
消化力が弱いため、肉、冷たい飲み物や食べ物は控えましょう。
牛乳は飲用後のむかつきや下痢、水太りを起こすので避けましょう。
長風呂はパワー(気)を奪うのでよくありません。
日頃の食べ過ぎ・飲み過ぎにより胃腸に消化不良があり、「痰」や余分な水分などの老廃物が体内に溜まった状態の人のことをいいます。
この体質の方は肥満の方に多く、熱を生じやすい、胃もたれ、お腹が張る、便秘しがちの他、悪化すると前頭部や目の奥に痛み、粘りっこい痰が出る症状が起こります。
⚪︎果物類ではコレステロール値の降下作用をもつりんご
⚪︎野菜類では抗菌作用とガンの予防作用のある大根、体内の毒素を取り除き喉の腫れ痛みを解消する牛蒡、ダイエット食品で肥満を解消するこんにゃく、体内のこもった熱を取り除くチンゲンサイ、熱を収め毒を解く豆腐(プリン体を含むので痛風の方は控えめに)、熱を収め利尿してむくみを解消するこんぶ、イライラを解消し整腸作用があるたけのこ
⚪︎穀物類では杏仁、大麦、蕎麦、とうもろこし
⚪︎魚介類ではクラゲ
⚪︎肉類ではたまご
体を温める香辛料は体内に熱がこもるので避けましょう。
甘いものや牛乳は腸に余分な水分が溜まりやすいので控えめに。
生ものや冷たいものも腸の働きを弱め、消化不良や余分な水分を処理するのに不利です。
通常、気が上に昇ったり下に降ったりして体内の正常な機能を調整していますが、その役割を担うのが「肝」です。
過労やストレス、怒りすぎには、肝に余分な熱がこもりやすく異常な熱をもつ方をいいます。
赤ら顔で頑健もしくは肥満の体型の方が多く、いつもイライラして怒りっぽい、めまい、頭痛、寝付きにくい症状があります。
⚪︎果物類ではビタミンCが豊富で美肌・風邪の予防に効くいちご、鉄分やリンなどのミネラル豊富なスモモ、気管を潤し咳を止めるびわ、抗酸化作用も持つスイカ、熱を収め喉の渇きを解消するマンゴー、クエン酸が豊富で代謝促進、疲労回復効果のあるうめ、抗酸化作用がありがんも予防するグレープフルーツ、熱を鎮めて喉の渇きを解消する梨、整腸や利尿に働くりんご、抗菌抗がん抗ウイルス作用をもつキウイフルーツ、健胃・整腸・痔に著効するいちじく、血圧の降下作用、アルコールの分解を促進する柿、高血圧、疲労回復、便秘に効くスタミナ減であるバナナ
⚪︎野菜類では体内の毒素を分解する大根整腸作用と女性の生理不順も改善できる牛蒡、ビタミンB2を含み粘膜を丈夫にするゆりね、目や耳の働きを高め抗菌作用もある黒くわい、体内の余分な熱を収めてイライラを解消する小松菜、高血圧に良いセロリ、コレステロール値の降下作用・動脈硬化を防止するトマト、体内の余分な熱を収め利尿促進させる冬瓜、利尿作用により熱を収め夏バテを解消する緑豆、骨粗鬆症に予防効果のある椎茸、血管を柔らかくし、浄血作用のある黒キクラゲ
⚪︎穀物類ではクコの実、蕎麦、とうもろこし
⚪︎魚介類ではハモ、クラゲ
⚪︎肉類ではアヒル
オススメ生活習慣
怒るとさらに体内にこもった熱が高まり、体を傷つけるので平静心を保つようにしましょう。
栄養価の高いものは避け、体を温める香辛料は食べず、気の回復によく効く酸味のあるものを意識しましょう。
④「気滞うっ血」タイプ
気の巡りが悪く、血行が良くない方を指します。
繊細で神経質で神経がいつも不安定で、クヨクヨ、イライラし怒りがお腹に溜まってしまうことがよく見られます。
気が滞ると、血の流れも滞り四肢の冷えとともにお腹が張りやすいなどの特徴があります。
その他の症状として胸や脇の張り、胸苦しさ、腹痛や食欲不振、片頭痛などの症状を引き起こします。
女性では肌や爪が荒れる、生理不順・生理痛の症状が現れます。
食べるべきもの
⚪︎果物類では血行を良くし抗菌・抗酸化作用のあるザクロ
⚪︎野菜類では貧血の改善効果のある蓮根、女性ホルモンの分泌に役立つ要素をもつ牛蒡、胃腸を丈夫にして止血作用促進するキャベツ、冷えを改善し血液循環を促進するニラ、老化防止や疲労回復効果のある大豆、抗菌抗がん作用のある黒キクラゲ
⚪︎穀物類では栗、とうもろこし
⚪︎魚介類ではイカ、エビ、スッポン
オススメ生活習慣
散歩などで適度な運動で血行を良くすることや、日々のストレスを溜めないように平常心を保ち、気の流れを良くすることが効果的です。
刺激物である香辛料は取らず、生物や冷たいものは体質の改善に不利なので控えめにしましょう。
⑤「陰虚」タイプ
ほてりやのぼせがあり、冷ます力が低下している方を指します。
汗のかきすぎや大出血、長期的睡眠不足により体を潤す機能が弱くなり、口が渇き、微熱が出やすく、精神不安、皮膚がカサカサになるなどの症状が起こります。
また、空咳やめまい、便秘と下痢が交互に訪れる、不眠、眠りが浅い、などの症状や悲観的になり、マイナス思考が多いという特徴があります。
食べるべきもの
⚪︎果物類では新陳代謝を促すいちご、抗菌抗酸化作用のあるビワ、熱を収めて、喉の渇きを解消する梨と柿
⚪︎野菜類では貧血の改善効果のある蓮根、ビタミンB2を含み粘膜を丈夫にするゆりね、目や耳の働きを高め抗菌作用もある黒くわい、風邪の特効薬「葛根湯の
」主成分であるくず、腸の老廃物を除き便秘を解消する白菜、コレステロール値の降下作用と動脈硬化を防止するトマト、抗菌抗がん作用のある黒キクラゲ
⚪︎穀物類ではクコの実
⚪︎魚介類ではサメ、アサリ、イカ、スッポン
⚪︎肉類ではアヒル
オススメ生活習慣
前向きに考え平常心を保ち、悲しみに沈んでしまわないようにしましょう。
胃腸が丈夫ではないので、香辛料などの温性のものや消化しにくいものは控えめに摂りましょう。
睡眠をよく取ることは体を潤すのに効果的なので、時間を確保することに努力しましょう。
⑥「陽虚」タイプ
体を温める力が不足している方のことを指します。
体を温める「陽気」の不足により、全身の冷えや下痢がよく見られます。
冬になると気候が寒冷となって、病気が悪化するという特徴もあります。
体のあちこちが冷えて重く痛む、浮腫になりやすい、排尿困難、やる気が出ない、声に力がなくあまり喋らない、食欲がないなどの症状が現れます。
食べるべきもの
⚪︎果物類では胃腸の機能を高め下痢止めの効果のあるさくらんぼ、整腸機能と血の巡りを促進する桃
⚪︎野菜類ではお腹を温め、気の巡りを改善するらっきょう、冷えを改善し血液循環を良くするニラ、気の巡りを良くして胃の働きを回復するシソ、弱った腎機能の改善に効果的であるなたまめ
⚪︎穀物類では栗、もち米、小麦
⚪︎魚介類ではエビ、なまこ
⚪︎肉類ではキジ、うずらの卵、牛肉、羊肉
オススメ生活習慣
散歩をして血行改善すると良いでしょう。冷え性であることが多いので、胃腸を冷やすものや生物、消化しにくい高カロリーのものは食べないようにしましょう。
短時間のお風呂で温まるのは良いですが、高温での長風呂は汗と共に「陽気」がさらに失われるのでお薦めしません。
いかがだったでしょうか。
生活の中で「食養生」をひと工夫取り入れれば日々の生活がより豊かになり、より健康で長生きでいられることができます。
ご自身の体質・特徴をよく理解、分析してその向いている食材を選び、病気に負けない健康な体にしていきましょう!
ぜひ皆さんも試してみてください!